凛たちは今、福岡で行われるスクールアイドルだけのフェス“Kyushu Festival”—略してきゅーふぇす—に参加するために九州に向かっています!
近頃はスクールアイドルの数も増えてきて、東京だけじゃなくってあちこちできゅーふぇすみたいなイベントが開催されてるんだ!
九州は凛もあまり行ったことがなくって——そもそも行ったことがあるかすら怪しいんだけど——最初は参加するかみんな迷ってたんだけど、「でもやっぱり参加したい!だって楽しそうじゃん!」って穂乃果ちゃんの一言で参加が決まったんだ♪
うーん、とっても楽しみ!はやく着かないかにゃ〜♪
それから色んな事があって、凛は元祖長浜家って名前のラーメン屋さんに行った。理由?うーん。今考えるとなんであの店に引き寄せられたのか、凛にもよくわかんないにゃ。
でも、あの時は無性に「行きたい!」って思ったんだよね。疲れてたからかな?それとも何か不思議な力が?
うーん。スピリチュアルだにゃ。
まぁともかく、凛は元祖長浜家の門をくぐった。
福岡といえば豚骨ラーメンだよね〜♪なんて思いながらメニューを見てみたら「ラーメン」としか書いてなかったからビックリしたにゃ。東京じゃあまり見かけないからね。
中には長靴を履いたガタイの良いお兄さんたちが何人かいて、凛も注文を聞かれたから周りの人が「ベタナマ!」って頼んでるのを真似して「ベタナマで!」って頼んだ。
これが失敗だったのだろうか。はたまた成功のうちなのだろうか。真相は未だ闇の中である。
ラーメンがきた。はやい。シンプルな見た目のラーメンだ。さっそくお手並み拝見といこう。
ずるっ。ずるるっっ。
うーん…?
ずるるるっっっ。
あれっ…?味がしない……?
おかしいな。福岡の豚骨といえばコッテリギトギトをイメージしてゐたのだが。凛が相対しているのは本当に豚骨ラーメンなのだらうか。
麺を噛む。シャキシャキとする。
シャキシャキ…?知らない子にゃ。
スープを飲む。その店を味わうには、頭を上から使うような感覚で、ゆっくりと舌のうえでテイスティングするっていうのが通の嗜みだにゃ。
元祖長浜家は……薄味の美味しい油——油としては、という相対的な“美味しい”、だが——。これは何の出汁を使っているのだろうか。凛には不可解である。
卓上にあるヤカンからお茶を注ぐ。生暖かい。冷たいと思っていたから思わず身体がビックリした。
もしかしたら、凛は未知なる恐ろしい世界へ足を踏み込んでいるのかもしれないにゃ。
これは、豚骨ラーメンではなく、全く新しい“何か”なのだろうか。
かれこれ私もラーメン好きとして日々ラーメンと闘い、喰らい、糧としてきたが、ここまで形容しがたいものは初めてである。
これが、FUKUOKA——。豚骨ラーメンの聖地、か。
秋葉原のキラキラ女子高生が門をくぐるには、鍛錬が全く足りなかったようだ。
フフッ、久しぶりの超えられない壁、か。
実に面白い。だが、私は諦めるということをしない。
壁は倒せるものなんだにゃっ!!